ファドにハマっている。いしいひさいち『ROCA』を読んだからだ。ファドの歌手を目指す吉川ロカの物語で、面白かったので、ファドを聴いてみることにした。そしたらハマったというわけだ。

もともと女性ボーカルものは好きだったし、メロディはブラジル(ミナス系)の曲に似てる瞬間があるし、ファドはとても興味深い。その興味のままに聴き続けている。

ただ、すべての瞬間に素晴らしいと感じたり、一時期のプログレやザッパにハマった時のような熱狂もない。飽きがこない程度に流し、ある瞬間に良い部分を聴いて「オッ」と思い、しばらくしたら別のジャンルの曲を聴いている。

そんな中で、なんとなく琴線に触れた数曲があるのでまとめた。Marizaという歌手は有名な人なんだろう。曲も歌も良くて、すぐに名前を覚えた。

https://open.spotify.com/playlist/7bLqNDUthi0r42GTBk08QL?si=42-LpzEXS2CZGLx5b9swNA


Christina Blancoの歌が素晴らしい。曲も良くて、まとめて聴いているところ。

いくつか聴いた中で「Mau Feitio」という曲がとても気に入った。短いフレーズを繰り返すミニマルな曲で、展開に抑揚があって不思議なノリがある。まるで鳥がゆっくりと、優雅に、しかし力強く空の高いところを飛ぶかのようだ。

どんな歌詞なんだろうと思って見てみると、

E quando cheia vê a lua Logo diz que pela rua A loucura 'tá instalada (私訳) そして月が満ち やがて町には噂が巡り 狂気がインストールされる

うーん。音楽を解釈する才能はないかもしれない。


これは自分に教養がないからなんだけど、ライヒのドラミングとか、打楽器系で少しずつ拍子がずれてモアレ化していくタイプの曲の、良さがいまいちわからない。ズレていくね、了解しました、という程度の受け取り方しかできず、それほど楽しめない。

Counterpoint系の曲は、素人の自分でも楽しいし、作品を通して聴こうという気持ちになる。Electric Counterpointは複数のフレーズが重なった時に現れるグルーヴが、波のようにやってきては引いていく、その変化の移り変わりが面白い。New York Counterpointは、それを管楽器でやっているからもっとすごい。Electric〜はエレキギターで演奏されるから、音の大小や音を重ねる方法は、なんかそういうエフェクター的なのあるよなーとか思えるが、管楽器はそうもいかないだろう。聴けばわかるが、波のような感じが完璧にあるから本当に聴くたびに感心するし、うっとりする。

しかし、一番好きなのはDifferent Trainとか、Tehillimとか、The Caveとかの、人の話し声からメロディを作ってしまう手法が盛り込まれた曲たちだ。その手法と曲自体のコンセプト、構成、楽器やコーラスのハーモニー、一聴すれば(あるいは何度も聞けば)必ず意味がわかるメロディ、何もかもが完璧。そしてそれ以上に、自分のような素人にもその凄さがわかるという「開かれた曲たちである」ということが何よりすごい。 2022/12/13


しばらく前、カンタベリー系にハマっており、いまそれが再熱している。 自分にとっては、とにかくHatfield & The Northであり、それ以外はHatfield & The Northのオマケとしか思えないほど大好きだ。ただ久しぶりに聞き直したNational Healthなんかは連続性を感じ、また別のコンセプトも感じ、起こるべくして起こった進化のように思える。National Healthのファーストがとてもいい。Brujoなんか何回聴いても聴き飽きない。D.S. Al Codaが中古で高値なのが惜しい。

Brujoはある音を(コードはなんだろう、わからないけど)何度も印象的に演奏して、最後にそのコードからものすごくかっこいいメロディを発するのだけど、似たような構造がHatfield & The NorthのFitter Stroke Has A Bathにもあった。 ネットのコードだから実際はどうかわからないけど、聴いてみると納得できる部分がある。前半の以下の歌詞の部分。再生して一分過ぎたあたりだろうか。